基礎基本の大切さを、強調しない受験指導者はいないと思います。しかし、何が基礎であり何が基本となるのかについては、受験指導者の考え方で変わってくるでしょう。
リベラルアーツの数学指導を例に考えてみたいと思います。
数学における基礎とは、定義です。
テキストや参考書で、●●とは××である。とか、●●は△△とする。と、書いてある部分です。三角比のところで、「sinθ=y/r, cosθ=x/r, tanθ=y/x とする」とありますが、これなんかが定義になるわけです。
定義は、丸暗記してしまう。
これが大切。
定義をしっかり覚えていれば、公式をど忘れしても、公式を自力で導くことができます。ちょっとした応用問題で解答の方針が見つからない場合、定義にたちかえることで方針が見つかることもよくあります。
リベラルアーツの授業では、「二次関数の平行移動とは?」「180°までの範囲で三角比を考えるとき、コサインの定義は?」といったことを何度も何度も何度も何度も、しつこいくらいに答えてもらいます。数学を苦手とする人は、定義をおろそかにしているからです。
数学は、定義から始まり、公式を導き、議論を進めていく学問です。定義をおろそかにする者は、応用問題で泣く。というわけで、定義こそが数学における基礎基本事項なのです。