このところジュンク堂那覇店の2階に行くとき、「ディープラーニング」であるとか、「機械学習」というタイトルの本が目につく。AI(人工知能)に関するキーワードらしい。
ところで、普段、教えていて、
⑴数学、英語はかなりの程度学力を伸ばすことが可能だが、国語は伸ばすことが難しい
⑵英語、数学で伸び悩む受講生の多くは国語力が弱い
⑶国語力が弱い受講生は、各教科の問題文(問いの部分)をかなり雑に読んでいて、問われていることが何か、正確に理解できていない
ということを強く感じるのだが、最近(2018年2月)出版された本である「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著、東洋経済)を読んで、はた、と腑に落ちた。
著者である新井氏は数理論理学の専門家で、「人工知能が東京大学に合格できるか?」というプロジェクトのリーダーである。このプロジェクトでわかったことは、
➀人工知能は偏差値57まで叩き出せる(これは明治、青学、立教、中央、法政の各大学のレベル)が、東京大学合格レベルには到達しない
②東大入試の問題であっても、数学ならば偏差値76、世界史は66をクリアする。ただ、英語と国語が全くダメなので、合格は無理
ということだ。著者によると、AIにできることは、
論理、確率、統計
の3つの分野であり、「意味」を考えさせる問題は全く歯が立たない。
人間であれば簡単に理解できる「私はあなたが好き」「私はカレーが好き」という文の区別が、AIにはできないらしい。
このAIの限界は、人工知能が数学をもとにして設計されている以上、未来永劫クリアされることはないという。もっと言うと、AIが人間を完全に超える「シンギュラリティ」が来ることは絶対にありえないということだ。「シンギュラリティ」とか言っている奴がいればそれは数学がわかっていないか、詐欺師ということになるのだろう。
AIは人間に勝てない。
だから人間の未来は安泰かというと、そんなことはない!
AIは論理確率統計を駆使して、偏差値57レベルまで叩き出せるのだ。
ということは、偏差値57レベルに達していないとAIによってとってかわられる可能性がある、ということだ。
そして不吉なことに、著者が主宰している研究プロジェクト「全国読解力調査」によると、教科書レベルの文章の意味を読み取れない中高生が相当数存在するという。「意味」を理解することこそAIに勝てる分野なのに、意味を理解できないということならば、将来はAIに代替されてしまう・・・・ということになる。
はっきり言ってしまおう。教科書をちゃんと読めない生徒がいるのに「アクティブラーニング」とか言っている奴らは犯罪的である。生徒同士で話し合いをさせても、実りのある議論などできないからだ。
では、どうすればよいのか?
著者の本にはこれ、という処方箋が提示されていないので不満が残る。
しかし、わたしが冒頭で書いた、
「国語力が弱い受講生は、各教科の問題文(問いの部分)をかなり雑に読んでいて、問われていることが何か、正確に理解できていない」という部分。国語が苦手な受講生はAIが単語をスキャンするのと同じような読み方をしているため、ということが分かったのは収穫だった。
入試レベルの長文で悩む前に、問題文の求めていることを正確に読み取ること。主語と述語の対応関係、指示語が何を指しているか必ず考えながら読み取ること。
これらを日々の授業の中で徹底させようと思うのであった。
ところで、普段、教えていて、
⑴数学、英語はかなりの程度学力を伸ばすことが可能だが、国語は伸ばすことが難しい
⑵英語、数学で伸び悩む受講生の多くは国語力が弱い
⑶国語力が弱い受講生は、各教科の問題文(問いの部分)をかなり雑に読んでいて、問われていることが何か、正確に理解できていない
ということを強く感じるのだが、最近(2018年2月)出版された本である「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子著、東洋経済)を読んで、はた、と腑に落ちた。
著者である新井氏は数理論理学の専門家で、「人工知能が東京大学に合格できるか?」というプロジェクトのリーダーである。このプロジェクトでわかったことは、
➀人工知能は偏差値57まで叩き出せる(これは明治、青学、立教、中央、法政の各大学のレベル)が、東京大学合格レベルには到達しない
②東大入試の問題であっても、数学ならば偏差値76、世界史は66をクリアする。ただ、英語と国語が全くダメなので、合格は無理
ということだ。著者によると、AIにできることは、
論理、確率、統計
の3つの分野であり、「意味」を考えさせる問題は全く歯が立たない。
人間であれば簡単に理解できる「私はあなたが好き」「私はカレーが好き」という文の区別が、AIにはできないらしい。
このAIの限界は、人工知能が数学をもとにして設計されている以上、未来永劫クリアされることはないという。もっと言うと、AIが人間を完全に超える「シンギュラリティ」が来ることは絶対にありえないということだ。「シンギュラリティ」とか言っている奴がいればそれは数学がわかっていないか、詐欺師ということになるのだろう。
AIは人間に勝てない。
だから人間の未来は安泰かというと、そんなことはない!
AIは論理確率統計を駆使して、偏差値57レベルまで叩き出せるのだ。
ということは、偏差値57レベルに達していないとAIによってとってかわられる可能性がある、ということだ。
そして不吉なことに、著者が主宰している研究プロジェクト「全国読解力調査」によると、教科書レベルの文章の意味を読み取れない中高生が相当数存在するという。「意味」を理解することこそAIに勝てる分野なのに、意味を理解できないということならば、将来はAIに代替されてしまう・・・・ということになる。
はっきり言ってしまおう。教科書をちゃんと読めない生徒がいるのに「アクティブラーニング」とか言っている奴らは犯罪的である。生徒同士で話し合いをさせても、実りのある議論などできないからだ。
では、どうすればよいのか?
著者の本にはこれ、という処方箋が提示されていないので不満が残る。
しかし、わたしが冒頭で書いた、
「国語力が弱い受講生は、各教科の問題文(問いの部分)をかなり雑に読んでいて、問われていることが何か、正確に理解できていない」という部分。国語が苦手な受講生はAIが単語をスキャンするのと同じような読み方をしているため、ということが分かったのは収穫だった。
入試レベルの長文で悩む前に、問題文の求めていることを正確に読み取ること。主語と述語の対応関係、指示語が何を指しているか必ず考えながら読み取ること。
これらを日々の授業の中で徹底させようと思うのであった。